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               ■読み下し文 
               
              「ヲヤ、鶴(つる)さん、誠に 
                お久し振り。鳩ぽつぽで 
                おまめかへ、ホ…  
                「ヘン、おつを言ふおとりさん 
                だノウ。おいら 
                は四十からと歳は取っても、 
                とりづくしより 
                おめへに心づくしときてゐるぜ。  
                こふものじゃねへが、  
                番に出掛けて 
                くる気はねへか。「アレサ、そん 
                なられしがら 
                せをおいひだろう。ふくろ  
                ここにあらずで 
                お茶をごぼしましたヨホ……  
              
              ▲△○→段落の繋がり方を示す記号 
                *→判別できない文字  
              ■大江戸瓦版■ 
                 遊女の客とりの手練手管にについて 
                 
               
              吉原という所は嘘で成り立っている。 
                遊女は何人もの客に「主(ぬし)に惚れんした」と言わなければ、客は二度と来ない。いい旦那になると目星をつければ、愛を誓う起請文(きしょうもん)を書いたり、小指を切ったり、男の名前を腕に彫ったりして誠意の証を演出する。 
              起請文は牛王宝印(ごおうほういん)などと書いた厄除けの護符に、神仏に誓って自分の愛に偽りが無いと記したもので、それを客に渡したり、目の前で呑み込んだりしたという。 
                ただし、遊女の場合は職業柄、75枚までは約束を守らなくても神仏に許されたとか?! 
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